- 歯原性腫瘍 -


- - 壁エナメル上皮腫 - -


 歯原性の嚢胞からのエナメル上皮腫の発生は従来の報告にあるごとく、臨床上注意すべき事柄である。この腫瘍を壁エナメル上皮腫 mural ameloblastoma とよび、Stanley、Diel(1965)によると、641例のエナメル上皮腫の調査結果から歯原性嚢胞壁からの腫瘍化について触れ、またShteyerら(1978)の報告によると球状上顎嚢胞、原始性嚢胞、残留嚢胞の壁上皮からもエナメル上皮腫が発症する。そして1938年から1974年までの主要文献から835例のエナメル上皮腫のうち、壁エナメル上皮腫は81例、9.7%であったと述べている。一般に壁エナメル上皮腫の好発年齢は21歳で、普通のものより10年若い年代で、性差はない。好発部位は埋伏智歯に関連したものが62.2%(Shteyerら)、65.8%(Stanleyら)であり、埋伏智歯と関係した歯原性嚢胞壁の腫瘍化が注目され、この部の嚢胞壁の病理学的診断の必要性がある。原始性嚢胞由来のエナメル上皮腫(Byrdら、1973)や歯肉嚢胞のなかに角化型エナメル上皮腫が認められたという報告もあるが、しかし一般にこれらの型の嚢胞からエナメル上皮腫の発生はたいへんまれなものである(Kramer、1963)。
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